AIを活用した商談・面談解析クラウド「ailead(エーアイリード)」 (https://www.ailead.app/)を提供する株式会社ailead。コミュニケーションデータの解析により、営業成果の最大化や人材育成を支援。営業・HR領域のDXを推進するクラウドサービスとして、大手企業からスタートアップまで幅広く導入されています。
同社はinfoboxを活用し、「失注掘り起こし」を日々の運用に組み込み、商談創出につなげています。
本インタビューでは、aileadマーケティング担当の舘岡様に、infobox導入の背景から、Salesforceの失注商談データを起点にした掘り起こしの運用、成果、そして社内連携の変化について伺いました。
価値提供の質を保ちながら、営業生産性を上げる。エンタープライズ層がターゲットだからこそ、リード1件の重みがあった
ー現在の営業体制について教えてください。
現在は、マーケティング、インサイドセールス、アカウントエグゼクティブの3チームが連携する体制をとっています。エンタープライズ企業が中心のため、部門横断で商談創出から受注まで、一気通貫で動いています。
ーinfobox導入の背景を教えてください。
弊社が現在注力しているターゲットは、中堅以上・エンタープライズ層のお客様です。リード1件の重みが増す中で、数をこなすアプローチではなく、顧客体験を維持しながら、1社1社にきちんと向き合う必要があると感じていました。
加えて、一人あたりの生産性向上にも取り組みたいと考えたときに、データをもとに「今どこに向き合うべきか」を整理できる基盤が必要だと感じ、infoboxの活用を進めていきました。
失注は終わりではない。Slack通知でインテントがHighになるタイミングを察知し、掘り起こしのアプローチ
ーinfoboxをどのように活用していますか?
アウトバウンドのリスト作成はもちろん、特に失注の掘り起こしに活用しています。掘り起こしには以前から取り組んではいましたが、「いつ、どこから当たるか」の判断や事前の情報収集に時間がかかり、日々の優先順位の中で後回しになってしまいがちでした。
しかし、失注した企業でも、ニーズさえフィットしていれば「半年前は難しかったが、今なら価値を届けられるかもしれない」というタイミングは確実にあります。プロダクトも日々アップデートされますし、状況が変化することも少なくありません。だからこそ、タイミングを逃さず、掘り起こしの施策を継続的に運用できるよう、仕組み化する必要がありました。
今は、Salesforceから過去の失注商談をinfoboxでリスト化し、インテントの変化をメール通知されるよう設定しています。さらにSlackと連携することで、営業が日常のワークフローの中で、自然と気付けるようになりました。
掘り起こしが“第3の商談チャネル”に。データでタイミングを見極める
ー導入前は、掘り起こしの運用でどんな点がボトルネックでしたか?
一番大きかったのは、アプローチ先を決めるまでの迷いと下準備の負荷です。失注を含む過去接点のある企業が相当数ある中で、「今どこに向き合うべきか」の判断と事前準備に時間がかかり、後回しになりがちでした。
ー掘り起こしの際のアプローチは、どんな工夫をしていますか?
インテントが上がってSlackに通知が来た企業に対して、過去の商談履歴を踏まえながら、「なぜ失注したのか」「今は何が変わったのか」を整理し、文面をカスタマイズしてメールを送ります。反応がなければ電話をする、という流れです。
infoboxが情報を整理してくれて、検討のタイミング(インテントの動き)を検知した企業の情報がSlackで通知されるようになったことで、アプローチ先に迷う時間が減りました。アタックすべき営業先が整理されるので、悩まず行動に移せるようになり、掘り起こしにかける時間自体も短縮できています。
おかげさまで、掘り起こしの運用成果として、これまでより月4〜5件の商談創出を積み上げられるようになりました。ある担当者は「1日30分、通知を受けた先をルーティーンでアプローチする」だけで、生産性を担保しながら営業活動を行うことができています。
お客様の課題意識が高まっているタイミングで自然に接点を持てると、その後のコミュニケーションがより円滑に進みやすくなります。架電においても「なぜ今ご連絡するのか」という理由が明確になることで、迷いなくアクションでき、結果として成果にもつながりやすくなっています。
私たちは、データ活用の目的を「数を増やすこと」ではなく、「価値提供できる内容」と「相手のタイミング」を捉え、優先順位の精度を上げることだと考えています。タイミングを見極め、本当に必要なお客様にコンタクトするのは、データ活用なしでは、やみくもになりがち。しかし、掘り起こしのように埋もれやすい施策も、日々の業務に自然に組み込むことができれば、必要なタイミングで必要な企業に向き合う状態をつくりやすくなります。
受注分析のアップデートで、営業の質に変化
ーinfoboxを使って、受注分析もしていると伺いました。
元々、自社のデータで受注分析には取り組んでいたのですが、infoboxの網羅的なデータと組み合わせることで、より解像度高くアップデートできました。
例えば、もともと「無形商材が強い」「広告・人材に強みがある」といった肌感覚はありましたが、infoboxで確認したことで、従業員数や扱っている商材の種類など、より詳細な情報が把握しやすくなりました。Salesforceの入力情報だけでは見えない定量データを、同じデータベース上で客観的に整理できた点も大きな改善でした。
また、受注傾向を社内で共有したことで、「どのような理由で受注しやすいのか」という仮説を持ちながら、商談設計ができるようになりました。トークの組み立てや刺すポイントが明確になり、精度が上がった実感があります。
infoboxが社内の共通言語に。営業戦略の言語化にはデータが必須
ーinfoboxは「アウトバウンドのためのツール」と捉えられることもありますが、ailead様としてはどんな価値を感じていますか?
infoboxはリスト作成だけではなく、社内の共通言語をつくるツールとしての価値が大きいと感じています。データを起点に、受注傾向や狙うべきセグメントを「事実」と「仮説」を切り分けて整理できるので、根拠のある議論がしやすくなりました。
ーマーケ・IS・営業が同じ指標で話せることは、チームの営業活動にどう影響していますか?
マーケ・IS・営業はそれぞれ見ている景色が異なるため、同じ目線に立つことが難しい場面があります。ですが、データがあることで「なぜ今この動きをするのか」「なぜこの優先順位なのか」を共通の土台で話せるようになりました。
結果として、商談創出だけでなく、営業戦略の言語化や振り返りも進めやすくなったと感じています。

